温度の表し方はいくつか存在します。日常生活でよく使われる温度の表し方は「セルシウス温度」通称「セ氏」と呼ばれるもので、単位は〔℃〕です。
しかし、化学では「絶対温度」と呼ばれる温度の表し方があり、計算などではこちらを用いることも多くなっています。ここでは、それぞれの温度の表し方について違いや関係について説明をしていきます。
セルシウス温度
水の凝固点は0℃、沸点は100℃ってよくできていますね。まるで誰かが決めたみたいです。
それは決められたものだよ。
現在使用されている温度〔℃〕はセルシウス温度とも言い、アンデルス・セルシウスさんのアイデアを使用しているんだ。
えっ!偶然じゃないですか?
「0℃は水が凝固する温度」とは人間が決めたんだよ。
ちなみに「100℃は水が沸騰する温度」もだね。どちらも大気圧下で、という条件も忘れずに。セルシウス温度ではこのように水が基準になっているよ。
なぜ水が基準になのでしょうか。
うーん、ケミ太が温度を考えるときってどんなとき?
朝の天気予報を見て、その日の気温によって服装を変えたりとかですかね。
雨、雪、曇など、多くの気象現象には水の状態変化が大きく関係しているからね。セルシウスさんも天文学者だったんだよ。
確かに水が基準なのはわかりやすいです。
身近でありふれた物質だからですね。
絶対温度
しかし、化学を考えていく上で、水はたくさんある物質のうちのひとつでしかない。そこで、水を基準にしたセルシウス温度よりも考えやすい絶対温度と呼ばれる温度の表し方が生まれたんだ。単位は考案者にちなんでケルビン〔K〕というよ。
絶対温度は日常生活では馴染みがありませんね。
どういうときに用いる温度なんですか?
化学における計算でよく使うね。
絶対温度では、熱運動がゼロになったところを0〔K〕としている。熱運動というのは覚えているかな?
熱運動は粒子の不規則な運動のことでしたね。
そう。この熱運動が熱を生み出しているんだ。
ということは、この熱運動がなくなったところが理論上最低温度になるわけだ。
だから、熱運動がゼロになったところを0〔K〕としたんですね。
そういうこと。熱運動がマイナスになることはないから、0〔K〕以下の温度は理論上存在せず、絶対零度ともいうよ。すべてのものが凍りつく温度と言われている。
絶対零度、名前だけでも寒そうです。
絶対零度にすることは現時点では技術的に難しいんだけどね。どうなるかはまだ不明なところもあるんだ。
セルシウス温度と絶対温度の関係
あれ?セルシウス温度は水の凝固点を0℃、沸点を100℃としてその間を100等分すればメモリの間隔がわかりますが、絶対温度は0〔K〕しか決まっていませんね。メモリの間隔はどうなるんですか?
いいところに気づいたね。
絶対温度とセルシウス温度のメモリ間隔は同じだよ。
後で定義された絶対温度のメモリ間隔は、混乱しないようにセルシウス温度のメモリ間隔に合わせたんだね。
ということは、1℃上がるのと1K上がるのは同じでいいんですね?
それでいいよ。
ちなみに絶対零度(0〔K〕)はセルシウス温度で表すと−273℃になる。ということは、絶対温度Tとセルシウス温度tの関係式はどうなるかな?
ええと、T=t+273です。
よしよし。今日はここまでだね。
さっきも話したけど、化学の計算では絶対温度を使うことが非常に多いから、しっかり覚えておいてね。
✔︎温度の表し方にはセルシウス温度〔℃〕や絶対温度〔K〕がある。
✔︎セルシウス温度は水の凝固点と沸点を基準にした温度の表し方であり、日常生活でよく用いる。
✔︎絶対温度は熱運動を基準にしており、化学の計算でよく用いる。
✔︎絶対温度とセルシウス温度のメモリ間隔は等しく、変換可能である。