化学基礎

同素体をもつ4つの元素の例を見てみよう

はじめに

「ダイヤモンドと鉛筆の芯はどちらも炭素からできている」ということは聞いたことがあるかと思います。見た目や価値を考えると全然違う物質のように感じるこの2つの物質は、化学では「お互いに同素体である」と表現されます。

ここでは、炭素を含め、覚えておきたい同素体をもつ元素4つを紹介していきます。

同素体とは

ケミ太

博士、鉛筆の芯とダイヤモンドは同じ炭素の単体と聞きましたが本当ですか?どう見ても全然違うように見えますが。

博士

鉛筆の芯とは、黒鉛(グラファイト)のことだね。ダイヤモンドと黒鉛は、どちらも炭素の単体で合っているよ。

ケミ太

それにしては、見た目も性質も全然違いますよ。ダイヤモンドは透き通ってますが黒鉛は黒いです。

博士

同じ元素からできる単体で性質が違うものを、お互いに同素体であるというよ。ダイヤモンドと黒鉛はお互いに同素体なんだ。性質の違いは、炭素原子のつながり方が違うためなんだよ。

ケミ太

原子のつながり方の違い、ですか。

博士

原子どうしのつながり方が違えば、同じ元素からできていても性質が変わってしまうんだ。

❶炭素の同素体

ケミ太

炭素の同素体はダイヤモンドと黒鉛ですね。

博士

まずはその2つは特徴もしっかりと覚えておきたいね。

ケミ太

他にもあるんですか?

博士

あとは、フラーレンと呼ばれる球状の炭素分子と、カーボンナノチューブと呼ばれる筒状の構造をしたものがあるよ。

博士

フラーレンは球状の炭素分子のことで、1番有名なのが炭素原子60個からできているC60だね。

ケミ太

サッカーボールみたいですね。

博士

カーボンナノチューブは炭素の平面構造が丸まって筒状になったものをこう呼ぶよ。どちらも最先端技術への応用が期待されているんだ。例えば、カーボンナノチューブを繊維状にしてできた炭素繊維は丈夫で軽いので、テニスラケットなどに使われている。

覚えるべき同素体をもつ元素

博士

同素体をもつ元素として覚えておいて惜しいのは、合計4種類あるよ。今説明した炭素Cのほかに、硫黄S、酸素O、リンPだ。同素体はSCOP(スコップ)で掘れ!と覚えるといいよ。

同素体はスコップ(SCOP)で掘れ!

❷硫黄の同素体

博士

硫黄Sの単体で覚えておくべきなのは、斜方硫黄、単斜硫黄、ゴム状硫黄だよ。

❸酸素の同素体

博士

酸素Oで覚えておくべきなのは、酸素O2とオゾンO3だよ。

ケミ太

酸素とオゾンも、同じ元素Oからなる単体ですけど、ひとつ増えただけで、性質は全然違いますね!

博士

オゾンはオゾンで、地球の上空に存在して有害な紫外線から生物を守ってくれているよ。

❹リンの同素体

博士

リンPで覚えておくべきなのは、黄リンと赤リンだよ。

ケミ太

キリンって名前は可愛いのに危険な物質ですね。

博士

キリン?ああ、黄リンはオウリンと読むよ。
実際の色は黄色というよりクリーム色っぽいんだけどね。
赤リン(セキリン)は黄リンよりは安定な物質で、マッチの着火剤として利用されているよ。

同素体と同位体を間違えない

ケミ太

そういえば、同素体とよく似た言葉で同位体というのもありましたね。

博士

同位体は質量数の異なる同じ元素の原子のことで、性質はむしろよく似ている。同素体とは意味が全然違うから間違えないように注意だよ。忘れてしまった人は復習しておこう。

まとめ

✔︎同じ元素の単体からなり性質の異なる物質を「互いに同素体である」という。
✔︎同素体の存在する元素はSCOPの4種類を覚える。
✔︎同位体と同素体は意味の全然異なる言葉である。

感想をお聞かせください!
  • わかりやすい 
  • ふつう 
  • いまいち