化学反応式は、化学反応を「数式」のように簡潔に表現したものです。たとえば、水ができる反応を言葉で説明すると「水素と酸素が反応して水になる」となりますが、化学反応式を使うと「2H2 + O2 → 2H2O」とスッキリ表現できます。今回は化学反応式の基本的な書き方を学んでいきましょう!
化学反応式とは?
「化学反応式」っていうのが、なかなか上手く書けないんです。
化学反応式は「反応物」と「生成物」の関係を表すものなんだ。イメージとしては、レシピのようなものかな。
レシピですか?どういうことですか?
たとえば、ホットケーキを作るとき、「小麦粉と卵と牛乳を混ぜて焼くとホットケーキになる」とするよね。それを化学反応式風に書くとこうなるかな?
※他にも砂糖やベーキングパウダーなどが必要です
なるほど!材料が「反応物」、ホットケーキが「生成物」なんですね!
その通り!ただし、化学反応式では「小麦粉」などの代わりに「正確な化学式」を書くんだよ。
化学反応式の基本ルール
でも、いざ化学反応式を書こうとすると難しく感じます。
大丈夫、基本のルールを覚えれば簡単だよ。まずは3つのポイントを押さえよう!次の例題を一緒にやっていくよ。
例題 次の反応を化学反応式で示せ。
⑴ メタンCH4が燃焼すると、二酸化炭素と水ができる。
1. 化学式を正しく書く
まずは、化学反応式に登場する物質の化学式を正確に書けなければいけない。案外、ここでつまずいている人が多いんだ。
反応物と生成物を化学式で表します。メタンのCH4は問題文中に与えられているのでいいとして、二酸化炭素は「CO2」、水の化学式は「H2O」ですね。ここを間違えてしまうと、この後どう頑張っても正しい式は書けません。問題文中に化学式が書いてないものについては、覚えている前提となっています。また、問題文に全ての反応物と生成物が記載されているとも限りませんので注意が必要です。今回でいえば、メタンが燃焼するために、酸素O2が必要となります。また、後述しますが、「触媒」など問題文中に与えられてたとしても化学反応式には記述しない物質もあります。
問題に全ての化学式が与えられている場合は非常に助かりますね。
2. 矢印を用いて反応物と生成物をつなぐ
化学反応式では、反応の進行を表す「→」を使います。左側に反応物、右側に生成物を書きましょう。反応物や生成物が複数存在する場合は、「+」の記号で繋げていきます。「〜から水を奪うと」のような場合でも、「−」の記号は使いません。その場合は移行して反対側に「+」してください。
勉強が進んでいくと、「←」や「⇄」のような矢印も出てくることがあるけど、基本的には「→」でいいよ。
3. 係数を調整する
反応前後で「原子の数」が一致するように、化学式の前に数字(係数)をつけます。
ここが最後の難関だね。化学反応式では、反応前後で「原子の数」が変わらないようにする必要がある。
どうしてですか?
化学反応では、原子が新しく「生まれたり消えたり」することはないからだよ。だから、反応前後で原子の数を合わせる必要があるんだ。
今作っている式の、左側と右側で原子の数を確認するよ。
左側はCが1個、Hが4個、Oが2個だね。右側はCが1個だけどHが2個、Oが3個だね。これじゃあバランスが取れていないんだ。勝手に増えたり減ったりはしないしね。
確かに、数が合いませんね。
そこで係数を使うんだ。酸素O2と水分子H2Oの係数を2とすると?
左右の全ての原子の数が合いました!
これで完成だよ。係数は、最も簡単な整数比になるようにしてね。
ちなみに、係数の「1」は省略するよ。
この数字合わせって、どうやるのがいいんですか?
複雑な反応式は別で紹介するとして、簡単なものについては「目で見て合わせる」だよ。今日は基本編だから、頑張って目と頭で合わせてみよう。
原子の粒の絵や数字は、なるべく書かないように練習してね。
色んな化学反応式を書いてみたいです。
よしよし。少し練習してみよう。最終的なアドバイスとしては、「たくさん書いて練習すること」かな。
実際に書いて練習しよう!
いいね、それじゃあ次の3つの反応を考えてみようか。一緒に順番に解いていこう!
問題 次の反応を化学反応式で示せ。
⑴ 窒素と水素からアンモニアが生成する。
⑵ メタノールCH4Oが完全燃焼すると,二酸化炭素と水を生じる。
⑶ 過酸化水素H2O2に,触媒として酸化マンガン(Ⅳ)MnO2を少量加えると,酸素と水を生じる。
⑴ 窒素と水素からアンモニアが生成する。
1. 反応物と生成物を化学式で書く
このくらいの化学式は覚えてね!ってことですかね。
まぁ、そういうことだね。
英単語と一緒で、反応式を書きながら少しずつ覚えていけばいいよ。
2. 原子の数を確認する
左辺:N=2、H=2
右辺:N=1、H=3
窒素原子Nと水素原子Hの数が合わないので、係数を調整します。
3. 係数を調整
完成!
よし、次に行こう。
⑵ メタノールCH4Oが完全燃焼すると,二酸化炭素と水を生じる。
1. 反応物と生成物を化学式で書く
書いてありませんが、燃焼には酸素O2が必要でしたね。
2. 原子の数を確認する
左辺:C=1、H=4、O=3
右辺:C=1、H=2、O=3
水素原子Hの数が合わないので、係数を調整します。頑張って目と頭で合わせてみましょう!
3. 係数を調整
完成!
ふぅ、ちょっと時間がかかりました!
慣れると、早くなっていくよ!最後の問題だ。
⑶ 過酸化水素H2O2に,触媒として酸化マンガン(Ⅳ)MnO2を少量加えると,酸素と水を生じる。
1. 反応物と生成物を化学式で書く
触媒は化学反応式中には含めないのでしたね。
「少量加える」というのは「触媒である」ことを指すことが多いよ。
2. 原子の数を確認する
左辺:H=2、O=2
右辺:H=2、O=3
3. 係数を調整
完成!
反応式自体は、簡単ですね!
過酸化水素を薄めたものはオキシドールとも呼ばれるよ。
この式は、代表的な「酸素を発生させる方法」の1つだね。
まとめ
バランスを取るのって意外と楽しいですね!
そうだろう?化学反応式は、今後の計算の基本となる大事なものだから、たくさん練習して慣れていこうね。
もっと難しい反応式をやりたい場合や、どうしても数字が合わせられない人は、「応用編」もぜひ見てね。
✔ 化学反応式は「反応物」と「生成物」の関係を表したもの。
✔ 矢印(→)で反応の進行を示す。
✔ 原子の数が一致するように係数を調整することが大事。
✔ 練習で慣れるのが一番の近道!